株主優待について説明した前回の記事で、株主優待をもらっても株価が下がって損をしてしまう可能性があることに少し触れました。
この記事では、そのリスクを避けるための「クロス取引(つなぎ売り)」について学んでいきたいと思います。
クロス取引(つなぎ売り)とは
「クロス取引(つなぎ売り)」は、株価が下がっても損をしないような取引方法です(逆に言うと株価が上がっても得もしません!)。
大まかに言うと、買いと売りの2つの取引を同時に行い、損益を相殺するようなイメージです。
買いはこれまでにも少し説明した普通の株の購入のこと(現物取引と言います)ですが、売りは信用取引を活用した売却のことを指します。
現物取引と信用取引を組み合わせた取引のことをクロス取引(つなぎ売り)というのです。
買いの方は普通に株を買うだけなので理解しやすいと思いますが、売りを行うとはどういうことでしょうか? そもそも、持っていない株を売るとはどういうことなのでしょうか?
これを理解するためには信用取引について理解しておく必要があります。
信用取引とは
「信用取引」とは、証券会社に保証金を預けることで資金や株式を借りて行える取引のことです。
普通は株を買ってから売りますが、信用取引では(株を借りて)売ってから買うという通常の売買と逆のことができます。
「持っていない株を売る」ということが、なかなかわかりにくいかもしれませんが、ひとまず、そういう逆のことができるようになると思ってください。
とりあえず、株価が下がれば得、上がれば損とだけ覚えておけば大丈夫です!
これを現物取引(普通の取引)と同時に行うことで、株価の下落によるリスクを避けることができます。
- 株価が上がれば、現物取引は得、信用取引は損。
- 株価が下がれば、現物取引は損、信用取引は得。
結果として プラスマイナスゼロ となります。
また、信用取引には制度信用と一般信用の 2種類ありますが、初心者は 一般信用 を利用していく形になるので、制度信用については忘れてください!
クロス取引(つなぎ売り)の制限
クロス取引を行えば、株主優待をもらう際のリスクを抑えられることが何となくわかったと思います。
しかし、クロス取引も万能ではなく、信用取引で借りた株の金額、期間に応じて手数料がかかってきます。
手数料の計算はとても複雑なので理解する必要はありませんが、借りた株の金額が大きいほど、借りた期間(クロス取引を行っている期間)が長いほど手数料が高くなる、ということだけを覚えておきましょう。
それでは借りた期間をできるだけ短くするために 1 日だけクロス取引を行えばよいかと思うかもしれませんが、そう簡単にはうまくいきません。
信用取引(一般信用)で売ることができる株には限りがあって、在庫がつきてしまうと売ることができなくなってしまうからです。
権利付き最終日の直前はクロス取引を行う人が多く出るために、在庫がなくなってしまうことがほとんどです。
在庫がなくならないうちに、でも可能な限り短い期間、クロス取引を行うことが手数料を減らすためには重要になってきます。
クロス取引(つなぎ売り)の利益
無事、タイミングよくクロス取引を行い、権利付き最終日の次の日に現渡(クロス取引の買いと売りを同時に解消する方法)を行えば、株主優待を取得する権利を得られることになります。
あとは数ヶ月待てば企業から株主優待の商品が送られてきます。
最終的な利益 = 株主優待の商品の価値 ー クロス取引の手数料
株主優待の商品の価値からクロス取引でかかった手数料を引いた分が実際の利益となります。
ここまでで株主優待で利益を得るために必要な株の基礎知識の説明は終了です!
続けて実際の証券口座で取得する手順を見ていきましょう。